パニック障害とは
不安障害のひとつです。この場合、強い不安や恐怖に見舞われるなどして、何の前触れもなく、息苦しくなるなどの「パニック発作」を引き起こします。発作自体は30分程度で治まるようになりますが、その間というのは死を意識するほど苦しい思いをします。同発作は発症後10分程度までがピークとされ、徐々に症状は治まるようになります。
それでも、パニック発作が繰り返されるようになれば、いつまたどこかで起きるのではないかという不安(予期不安)がつきまとい、さらに助けを求めることが難しいとされる場所(人込み、電車やエレベータの中 等)で起きるたらどうしようという恐怖(広場恐怖)にさいなまれることがあります。このような不安や恐怖によって外出をしないなどの回避行動をとれば、日常生活に支障をきたすようになります。このような状態にあるとパニック障害と診断されます。
なおパニック発作は起きるものの、予期不安や広場恐怖がみられないという場合は、パニック障害とは診断されません。つまり、パニック障害でみられる症状というのは、パニック発作、予期不安、広場恐怖の3つが現れている状態をいいます。
パニック発作でみられる症状については、次の通りです。
- 動悸
- 息苦しい、呼吸困難になる
- 胸痛や胸に圧迫感がある
- めまい、ふらつき等がみられる
- 手足が震える
- 汗が出る
- 悪寒がする
- 現実感の喪失、自分が自分でない感覚
など
発症の原因
パニック障害が引き起こされる原因は、はっきり特定されていません。ただ、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン 等)にバランス異常がみられている、性格的傾向、ストレスなどの蓄積、遺伝的要因などがいわれており、これらが絡み合うなどしてパニック発作が起きるのではないかと考えられています。
検査方法
パニック発作の症状は、循環器の病気(心臓病 等)でみられる症状などと似ているので、血液検査、画像検査、心電図検査などによる鑑別検査を行っていきます。
別の病気の可能性がなければ、医師が問診を行い、DSM-5の診断基準などに基づいて診断をつけていきます。
治療について
パニック障害の治療では、薬物療法と精神療法を併せて行っていきます。
薬物療法
パニック発作を抑制するために用います。抗うつ薬(SSRI)や抗不安薬が使用されます。SSRIは、脳内の神経伝達物質のひとつであるセロトニンの濃度を上昇させることでバランスが整うようになり、発作の予防につながります。抗不安薬では、ベンゾジアゼピン系が用いられます。これは、発作時の緊張や不安を和らげる働きをするなどします。
精神療法
パニック障害で有効とされる精神療法のひとつが認知行動療法です。この場合、あえて発作が起きやすいとされる場所に赴き、不安に徐々に慣れるようにしていく暴露療法(エクスポージャ―)を行うこともあります。また、発作に対する誤った認識を修正していく(発作は生命に影響しない 等)、不安をやり過ごすなど、ストレスに対処するスキルを身に着けていきます。