身体表現性障害とは

現在は身体症状症とも呼ばれることが多いです。この場合、身体には医学的検査を行っても何の異常も見当たらないのですが、患者様は、吐き気や胃の痛み、頭痛、皮膚の痛み、しびれなどを訴えるようになります。

このような症状が現れる原因については、過度とされる社会的、あるいは心理的ストレスによって引き起こされているのではないかといわれています。よくみられる症状については、主に以下のタイプに分類されます。

  • 数年(2年以上)にわたって、皮膚の痛み、消化器症状(胃痛、腹痛、吐き気、腹部膨満感 等)などを訴えている(身体化障害)
  • 手足に力が入らない、しびれる、声が出ない、歩けない等、運動や感覚において異常がみられる(転換性障害(機能性神経症状症))
  • 自身が重病に罹患していると思い込み、それによって大きな不安にさいなまれている。少しでも身体の変化があれば重病と感じ、不安が尽きることはない。ただ実際の病気の状態はあっても軽度が大半で、気持ちと比較するとその溝は大きくなっている(病気不安症)

診断について

症状に対して、何らかの病気の可能性がないことをしっかり確かめる必要があります。したがって、内科等で何らかの検査を受けるなどして、器質性疾患でないことを確認します。そのうえで、何かしらの身体症状が続いているとなると身体表現性障害(身体症状症)が疑われます。最終的には、医師による問診等によって診断がつくようになります。

治療について

治療の中心は、精神療法(認知行動療法)になります。患者様ご自身は重病に罹患していると思い込んでいるので、その認知の偏りを修正していく内容となります。考え方を変えていくことで、症状に対する受け止め方も変わるようになれば、痛みなどの症状も和らぐようになります。

なお、抑うつや不安の症状が強く出ているという場合は、薬物療法(抗うつ薬、抗不安薬)を用いることもあります。